イングランド旅行記(1)
2年前の暮れに本棚を整理していたところ、40年前にイギリスへ行った時のスライド写真が出て来た。スライド写真をスキャンして電子データ化できると聞いていたので、早速スキャナーを買い全ての写真をスキャンした。色が大分かすんでしまった写真もあったが、1つ1つの写真が40年前の記憶をまるで昨日起こったことのようによみがえらせてくれた。これは書き留めておこうと思いながら、2年の月日があっという間に過ぎてしまった。会社のホームページを刷新する機会にと何とか書き始めることができた。
写真はN 君という大学で知り合った同郷の親友だった。まず彼のことから書き始めようと思う。
この写真はロンドンに降りたってから数日たったホテルの部屋での写真だと思う。やっと気持ちが落ち着いたところだった。
実はロンドンに着いた初日にとんでもないことが起こってしまった。その時パキスタン航空での日本からの長旅に二人ともぐったりしていた。一年間のオープンチケットで学生には安くていいのだが、途中何度かトランジットがあったり、立ち寄る都市があったりで、とにかく狭い機内で、時間もかかった。やっと着いたとヒースロー空港から電車に乗り、ロンドン市内に着いた。予約してあったホテルの場所が良くわからなかったので、タクシーに乗り場所を告げやっと自分たちの部屋にたどり着くことができた。そしてその時、重大なことが発覚した。それはN君の全財産とパスポートの入ったショルダーバックが何処にもないことに気づくこととなったからだ。それからが大変だったことは言うまでもない。どこかに忘れてきてしまったらしい。
航空会社などにも電話してみたが、どうやらタクシーを降りる時に忘れたらしいことが解ってきた。タクシーのデポジットセンターにも行き、1日、2日出てくるかどうか分からない荷物の行方を待つこととなった。ロンドンのタクシーに忘れたものは必ず出てくるし、決して道も間違えることがないと定評のあることを知っていたので、安心して待とうとN君に言いながらも、もし出てこなかったら、このまま一緒に帰ろうと決めていた。そして2日目の日だったと思う。タクシーのデポジットセンターから電話があり、事なきを得た。そんなほっとした時の写真だったと思う。そんなこんなで珍道中が始まったような気がする。